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The R&D journey behind Umicore’s unique approach to battery recycling

Regional website Japan

ユミコアは、既存の技術・プロセスと比べ、より効果的、効率的、持続可能なバッテリー・リサイクルのアプローチを開発しました。今回は、その開発に関するストーリーをご紹介します。

電気自動車(EV)の普及が世界中で飛躍的に進むにつれ、使用済みEVバッテリーや製造過程で排出されるスクラップをリサイクルする需要が急速に高まっています。需要増に対応するため、ユミコアはバッテリー・リサイクル工場の生産能力をヨーロッパ最大にまで増強する予定です。そして、独自開発した新しい金属抽出技術を取り入れることで、環境負荷を抑えながら、貴重な資源・金属の高い回収率を目指します。

特許取得済みでもある独自のプロセスは、乾式製錬と湿式製錬を組み合わせて行われます。外部エネルギーを一切使用しない高温製錬を用いた乾式プロセスでは、使用済みバッテリーや工程内スクラップを貴重なリサイクル可能物質と、不用な不純物に分解します。貴重な物質は不純物の無い金属精鉱に変換された後、コバルト、ニッケル、リチウム、銅などを高品質なバッテリーグレードに分離するために、湿式精錬プロセス(化学薬品使用)でさらに精製されます。乾式プロセスでの屈強かつスマートな不純物除去が実現することで、湿式プロセスはよりシンプルに効果的になります。この技術により、電池における重要な技術の鍵を握る正極活物質の製造に利用可能な高品質のリサイクル原料を得ることができ、バリューチェーンにおけるクローズドループが可能となります。

このアプローチは、他のバッテリーリサイクル方法よりも20~30%程コスト効率が高く、ニッケル、銅、コバルトにおいては95%以上、将来的にはリチウムでは 80% 以上の高い回収率が得られます。また、高温処理プロセスでは、グラファイト、電解液、プラスチックなどの投入材料自体のエネルギーを使用するため、機械破砕と比較してカーボンフットプリントが低くなるというメリットがあります。

研究開発チームによる主な成果は、ユミコア独自のアプローチを小型バッテリーから大型バッテリータイプに適応させたことです。以前は主に電動工具やE-BIKEなどの小型バッテリーをリサイクルしていましたが、電動モビリティの普及に伴い、バッテリーはよりサイズが大きく、また、コバルトの量が少なくニッケルやマンガンの量が多いなど、異なる化学的特性をもつものとなりました。ホーボーケンにあるバッテリー製錬所ではこのような性質のバッテリーを大量に処理する実績を重ねることで、その形態について学び、技術的な意義を理解し、大規模に処理するためのアプローチを検証しています。このバッテリー製錬所では、最新のプロセスを用いることで年間7,000トンのEVバッテリーを処理することが出来ます。我々の他に類を見ない技術は、今後10年間で欧州最大のバッテリーリサイクル施設となるための要となるでしょう。

このスケールアップを成功させるために、研究開発チームは乾式製錬や湿式製錬といった特定の分野だけでなく、前処理、製錬、還元、溶媒抽出といった他分野の研究開発にも取り組んでいます。また、事業開発部門や営業部門から市場情報を入手しプロセス開発に活かすなど、他部署と協力もしています。さまざまなチームとのコラボレーションが当社のバッテリー・リサイクルプログラムには欠かせません。

振り返ってみれば、ユミコアの研究開発チームは、独自の乾式製錬と湿式製錬のアプローチの拡大に大きな成果をあげてきました。このような進歩は単独では成し得ないものだったでしょう。チームの成功の中心となったのは「エコシステム思考」、「オープンイノベーション」であり、これは様々なステークホルダーや、大学や研究センターなど外部機関の専門家の協力あってのものです。また、ユミコア社内の豊富な知識の活用が、短期間での開発を可能なものにしました。

ヨーロッパ最大のバッテリーリサイクル工場の稼働に向けて、研究開発チームは独自のバッテリーリサイクルのアプローチが新工場でも適用可能であることを検証しています。Bart Verrecht氏は「この分野での野望は非常に大きい。10年後には、ヨーロッパで大量のバッテリーを処理できるようになるだろう。ニッケルに関して言えば、平均的なニッケル鉱山に匹敵する量をリサイクル出来る見込みだ。バッテリーからバッテリーへ、私たちの循環型アプローチは当社の強みである。それにより我々は、責任ある持続可能なバッテリー材料により製造されたクリーンモビリティの需要増に応えることが出来、そして持続可能な価値をお客様へ創造することが出来る。」と言っています。

記事の全文(英文)は、こちらのリンクからご覧いただけます。